No.005 : 音楽を”観る”(後編)/ヨシオカシンスケ

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「CD=音楽」、「DVD=映画」。そんなイメージ、ありませんか?それらと比べると、どうしてもお店の中で地味な存在に思えてしまうのが「音楽DVD」。しかし視覚と聴覚へ同時に訴えるその瑞々しさに、実は虜になっている方が多いのではないでしょうか。ヨシオカさんが紹介してくれた音楽DVDを見ていたら、音楽と映像の相性は私たちが思っている以上に抜群だということに気づかされました。

(前編はこちら)

Michael Jackson / Dangerous: The Short Films

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木村彩人(以下A) – では次に行ってみましょうか。タイトルは…?

ヨシオカシンスケ(以下Y) – マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の「Dangerous: The Short Films」です。同名のCDアルバムのショートフィルム集。マイケル・ジャクソンは小学生くらいからずっと好きで聴いていて。人によってマイケルは「Thrillerのときがピーク」とか「BADのときがピーク」とかいろいろ意見があるんだけど、俺はこの「Dangerous」のときが音楽的にはピークだと思うのね。収録されてる「Remember The Time」や「In The Closet」は「Thriller」とか「Billie Jean」と比べると日本では有名じゃないけど、名曲だし、ショートフィルムがすごくかっこいい。

ワタベカズキ(以下K) – マイケルは映像こだわってますもんね。全体的に曲のイントロ入るまでが長い(笑)

A – 確かに!PVなのに15分とかあったりね(笑)せっかくなのでDVDを再生してみましょうか。

K – (再生しながら)先程小学生から聴いているっておっしゃってましたけど、それはけっこう早いですよね。何がきっかけだったんですか?

Y – 小学生のときにちょうどマイケル・ジャクソンが日本に来て、ライブをテレビで放送してたの。そこから好きになって、たまたま、それを観て衝撃をうけて、それからMTVでチェックするようになって。当時はマイケル・ジャクソンやマドンナ(Madonna)、プリンス(Prince)あたりのアメリカのPVがよく紹介されていて、その洗礼を受けたのかな。

K – いい時代ですね。このPVを見てると、当時の大衆からどういう風に見られていたのかが感じられますね。マイケルって、全盛期は神格化されるくらい人気があったわけで。もう人間味がないくらいにスターだったんだなって。今はここまでこだわれないですよね。費用対効果っていう言葉が浸透してから、面白くなくなってる。

A – この時代って善くも悪くも馬鹿馬鹿しいものがいっぱいあったよね。この前、バブル時代のサインや看板の写真を集めた資料集を見たんだけど、それが面白くて。全然光る必要のないところが光っていたり、とにかく無駄なんだよ(笑)マイケル・ジャクソンはその時代を象徴していると思う。これくらいやり切ってくれる人がいるから、見る方も「これくらいやってもいいんだ」って勇気づけられたというか。

HAS / Live in Barcelona-Tokyo

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Y – 最後に、HAS(HUMAN AUDIO SPONGE)の「Live in Barcelona-Tokyo」。これは、Sonarっていう毎年スペインでやってる音楽フェスでの映像。HASは細野晴臣・高橋幸宏の「SKETCH SHOW」に坂本龍一が参加したユニットで、YMO(Yellow Magic Orchestra)とメンバーは全く同じなんだけど、名義が違うユニットなのね。

A – ライブビデオ好きなんですよ、僕。PVとライブビデオなら絶対後者なんです。ライブって2時間あったら、2時間見せ切るために作ってるじゃないですか。だから、それを撮ったライブビデオって見せ切るパワーがあって。このパッケージのデザイン、かっこいいですね。立体としても、平面として見てもセンスがいい。実は初回に登場してくれた長君も細野晴臣が好きで持ってきてくれたんですよ。さすがファンが多いなあ。

Y – 日本のポップミュージックを作った人たちだからね。

K – この3人が組んでたっていうことが凄いですよね。YMO以降のそれぞれのプロジェクトも凄いし。

Y – そうだね。今でこそYMOの3人は一緒のステージに立つこともあるけど、この時はまだ坂本龍一と細野晴臣が少しぎこちなくて、映像からなんとなく緊張感が伝わってくるんだよね。でもライブが進むにつれてそんな空気感も徐々にほぐれていくのが分かるような気がして。それがまたなんか感動しちゃって。YMO時代のことを思い出してるのかな、とかね。YMOにしてもさっき紹介した小澤征爾にしても、やっぱりいい音楽って世界中で聴かれるんだね。

K – 世界で活躍する日本人、ですよね。僕もそういうとこあります。去年CORNELIUSがグラミー賞ノミネートされたときはやっぱり嬉しかったですもん。

何歳になって気づいても遅くない

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A – 今日は内容が濃かったですね。

K – どれも楽しめる作品ばかりでしたね。これだけ濃いものが4枚揃うとは思わなかったです。

Y – 言い過ぎかもしれないけど、今日持ってきた4枚のDVDは、いまの音楽シーンの一部ではあるけれど、映像として音楽を記録したものとして、ぜひ後世に残してもらいたい。映像があるとやっぱり分かりやすいしね。CDだと歴史的名盤みたいなのがあるでしょ。いつかビデオの歴史的名盤って呼ばれるようになるといいな。

K – 確かに、どれも歴史に残りそうな名盤ばかりでした。今日の4枚って、僕の世代だと音楽が好きな人じゃないと聴かない領域なんですよね。このインタビューを見た人が興味を持って聴いてくれたら嬉しいですね。
少し話は変わりますけど、普段はどういう環境で聴かれているんですか?

Y – 家の環境はサンスイのアンプ、SONYのプレーヤーにTANNOYのスピーカーです。昔
はクラシックって、退屈な音楽だと思いこんでちゃんと聴くこともなかったんだけど、 TANNOYのスピーカーってそういえばクラシック向けなんだよな、と思って。それでCD屋さんのクラシックコーナーでお勧めされてた第九のCDを買ってきて。それがサイモン・ラトル(Simon Rattle)+ウィーンフィルの第九だったんだけど、ちゃんと聴いたらまー良くてね。退屈どころか、なんか感動したんです。クラシックがこんなに面白いなんて、全然知らなかった。自分にとっては大発見。

K – 僕もはじめてAKGのヘッドフォン買ったときは、今まで聴こえなかった音が聴こえてきて驚きました。今だったら2万円も出せば、プロも使ってるような中級クラスのヘッドフォン買えますし。作り手側としても、音楽は良い音で聴いて欲しいですね。

Y – そういうことって、何歳になって気づいても遅くないよね。

A – 何歳になって気づいても遅くない、ですか。確かにそうかもしれないですよね。名言頂きました(笑)

2009.10.10 update

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