No.016 : 自分の体験したことを、多くの人と共有したい(前編)/江口晋太朗

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みなさんは、「社会」についてどのくらい考えていますか? 今回のゲストの江口さんは、世の中がどうしたら良くなるのか、本気で考え、行動している方です。最先端のツールを利用して積極的に情報を発信していく彼は、「自分の体験したことを、多くの人と共有したい」と語りました。ならばここで、愛用品もみなさんと共有していただきましょう。

江口晋太朗
1984年、福岡生まれ。元陸上自衛官。現在は都内の大学3年生。マーケティング、地域活性事業、ソーシャルメディア教育などを中心に活躍中。84ism副編集長。

ワタベカズキ(以下K) – 今日のゲストは、1984年度生まれの方によるウェブマガジン「84ism」副編集長の江口晋太朗さんです。では自己紹介をお願いします。

江口晋太朗(以下E) – 初めまして、84ism副編集長の江口晋太朗です。
84ismはその名の通り、1984年生まれの人たちが作るウェブマガジンです。僕自身は大学に行きながら、主な活動としては教育をベースとした社会問題への取り組みをしています。政治や経済って、人によって意識の差がすごいあると思うんですよ。その原因が何なのか…生まれた場所なのか、家庭環境なのか、経済的な問題なのか、そしてその影響がどう人を成長させるのか。それが個人的には一番興味があるところですね。それらを学んでいたら、自分があまりに物事を知らないな、ということを感じて。それを解決するための活動を通じて、最近は少しずつ世界観が広がってきました。自分の体験したそういうものを、多くの人と共有したいと思っています。

他人あっての「自分」

E – 普通の大学生だと、社会と言うか、自分以外のものに興味が薄い人が多いと思うんですよね。でも他人あっての「自分」じゃないですか。他者との関係性を意識した上で、どうすれば社会が良くなるのか…それは日本だけじゃなく世界も含めてですが、それを少しでも多くの人に考えてもらえたらと考えています。そして、そういった問題を感じてもらうためのワークショップを、企画・開催しています。

K – 江口さんが定期的にしている、Twitterでのイベント中継もその中の1つなんですよね。

E – そうですね。今その場で起きていることを、Twitterというメディアを通じてリアルタイムで送信できると。これは新しい可能性を秘めているな、と思いまして。できるだけ積極的に、いろんなイベントを中継しています。

K – 自分で見て体験するだけじゃなくて、多くの人に伝えられるわけですもんね。

E – また、中継をしていく中で自分のフォロワーの方は、自分が関心のある分野に興味を持ってくれる人が自然と集まるようになりました。

K – 確かに。それは自分が読みたい発言をしている人を選んでフォローする、というTwitterのシステムだからこそのメリットですね。

E – でもゲームやアニメも好きなので、そういうイベントの中継もするんですよ。逆に、そういう娯楽的な面白いコンテンツと、ソーシャルなものを組み合わせた、新しい可能性を僕は提示したいなと思います。無駄に堅苦しくするのは嫌いなんですよね。政治絡みだと、そうなりやすいので。そうして僕自身というフィルターを通した情報を、人に伝えたいなと思ってTwitterをやっています。

K – 絶対に個人のフィルターを一度通る。Twitterの良いところはそこですよね。
これは個人的な興味なんですが、そういった漫画やアニメというコンテンツは日本の強みだと思うんですよ。これを行政主導で世界に対して売り出していく、という動きについてはどうお考えですか?

E – 行政が枠を作ってしまうのは、良くないと思うんですよね。特にアニメやゲームって、現実にないものを作ったり、現実を拡張させたものを表現するものが多いじゃないですか。政府の人って「今」しか見てないので、逆に今の枠組みで決めちゃうと、それに縛られたことしかできなくなると思います。即物的な国益を追求して、クリエイティビティを犠牲にするのが怖いですね。

K – 言ってみれば「夢見ちゃってる人」のコンテンツですもんね。ポジティブな意味で。

E – そうそう。そういうコンテンツに、昔で言うパトロンのような、芸術性にお金を出す感覚を持って欲しいですね。もう少し、そこに社会的な影響を期待しても良いと思うんですよ。今はわからなくても、それが5年後、10年後に大きな影響を持ちそうな、そういったところにお金を出す度量が、国にあるのかですよね。

K – 国と、あと個人もですよね。

E – 個人もそうですね。

個人から発信できて、その価値観が認められる環境が整ってきている

K – 僕も自分が音楽をやっている経験と、美大の友人との交流を通じて、パトロンのような存在の需要はとても感じています。簡単に言えば、どう頑張っても音楽やアートなんて生活必需品には成り得ないわけですよ。そこを言われたら、僕たちは何も言えないわけで。でも、生きるのに必要なものだけを認めるのだとしたら、人間の生活なんて無駄だらけなわけです。そして、人間がそんな無駄を楽しんでいるというのも事実なわけで、その最たる例が音楽や芸術の分野だと思うんです。
言ってみればそれらは資本主義に最も適さない分野で、それを無理にビジネスの枠に収めようとしたから、音楽業界などの昨今の難しい状況があるのではないかと。クリエイティビティを保ちつつ創作活動を継続していくには、パトロン…つまりは少数の賛同者によって支えられて、一般の市場とは少しずれたところで動いていくのが、それらの分野にとっては正しいのではないかと感じています。

E – 資本主義的な流れだと、大衆が価値を見出すものが世に流れるわけじゃないですか。でも芸術っていうのは、必ずしも大衆に認められるものではありませんよね。いわゆる、非合理的な価値として存在するっていう側面もあるわけです。だから、1人がそれを良いと思って、「俺はこいつに100万出す」ってことになれば、それで良いんですよね。

K – 流通の話で言えば、「ブラック・ジャックによろしく」で有名な、漫画家の佐藤秀峰さんが面白い活動をしていますよね。出版社との関係が硬直化している業界で、あれだけ言ってのける人が出てきたというのは良い流れだと思います。

E – 漫画を作った人の権利と、それを認める周りの人の存在が大事なんですよね。出版社などが一元管理することが、難しくなってきているのかもしれません。

K – 音楽業界もそうですし、ビジネス自体がそういう流れになってきていますよね。最近の広告代理店の不振は、昔に比べて情報源が多様化して、大衆を一つの方向に向かせることが難しくなったからだと思います。

E – そんな中で、インターネットの技術進化によって個人が情報を発信できて、その価値観が認められる。今は、そんな環境が整ってきていますよね。発信する側のツールも増えてきていますし。

K – それで、小規模なコミュニティ的な市場をそれぞれが作っていく、というのが2010年からの流れになると思います。

もう、同じ素材では作れない箸

K – では、お気に入りのものの紹介をお願いします。

E – じゃあまずは、栃木にある「無心庵」で買った箸を。無心庵は竹工芸のお店で、この箸も竹でできています。この箸は何十時間も燻した黒い竹を使って作られているんですよ。竹は普通の木と比べて、丈夫で、燃えにくく、色も付きにくいという利点があります。無心庵にはいろいろ太さ、長さの箸があって、自分の手にフィットするものが選べました。いつも持ち歩いて、外食のときも使っています。
昔、友達と電気自動車で旅をして、途中で地元の名産品を取材しようっていう企画をやっていまして。東京から福島まで、往復で約10日間くらい電気自動車だけで移動したんですが、無心庵にはその帰り道に寄りました。実は途中で取材するのは充電させてもらうためでもあるんですね。コンセント貸してください、と(笑) その旅は「ローカル・リンク」という企画だったんですが、その様子もTwitterで中継してたんですよ。9月頃だったので、今ほどユーザーは増えていませんでしたけども。

K – 素敵な箸ですね! 入れ物も竹で出来ていて、手工芸の趣が感じられます。

E – 僕、割り箸が嫌いなんですよ。割り箸みたいに真四角だと、食べるときに手や口の中に角が当たる感覚があって。「食」って人間が生きる上で大事な行為だと思うので、そのとき手に持つものとして、良いものが欲しいなとずっと思っていたんです。「マイ箸」と言うとエコのイメージがありますが、エコと言うよりは単純に気持ち良く食べたいと思って買いました。気に入っている箸で食べると、カップ麺も何か違って感じるんですよ(笑)

K – 日常的に使うものを良いものにするっていうのは、思っている以上に価値があることですよね。僕は、以前友人がKALENOのインタビューで紹介してくれた耳かきを愛用しているんですが、この箸も欲しいです(笑)

E – これなら他の人とは被らないだろう、と思って持ってきました(笑) あと、しばらく使っていて表面が痛んできたら、お店に持っていけば磨り直してもらえます。ただ、お店は大田原の田んぼのど真ん中にある感じなので、車じゃないと気軽に行ける感じではないですけどね。
この箸の素材は、数百年前のお城の建築材として使われていた竹なんですよ。なので、もう同じ素材では作れないんです。

K – 数百年! それは凄いですね!

E – 無心庵では、これ以外にも様々な竹で作られたものが売ってます。竹って、植えてから数年で素材として使えるんですよ。普通の木は数十年かかりますから、生産性という意味でもメリットがあるんですね。

K – 竹は度々素材として注目されていますよね。10年前くらいにはヤマハが竹製のギターを販売していましたし、昨年か一昨年のミラノ・サローネでは、竹をフレームに使ったロードバイクが発表されました。どちらも実用に至ってないのは残念ですが…。

E – 昔は竹は日用品にもよく使われていたんですが、最近は高級品志向で扱われてしまうことが多いようです。無心庵の方もそれを憂いていました。

K – 竹工芸もこれから盛り上がっていって欲しいですね。

(後編へ続く)

2010.3.6 update

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