No.014 : 誰も知らない引き出し(後編)/岸本亮

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普段からウェブ上やレコードショップで新しい音楽を発掘することに多くの時間を費やしている岸本さん。良い音楽を知りたいと思ったときに、友達や知人の情報はとても頼りになりますよね。知られざる音楽に出会うべく、おすすめのタイトルを紹介していただきました。

(前編はこちら)

DoF / Rid The Tree Of Its Rain

岸本亮(以下R) – じゃあ最後にDoFの「Rid The Tree Of Its Rain」を。(再生して)ここまでくると、普通にエレクトロニカって言える感じ。

ワタベカズキ(以下K) – 元の世界に戻ってきましたね(笑) リズムはわかりやすいエレクトロニカですけど、ちょっと民族音楽の影響を受けてるのかな。音階がそんな感じですね。落ち着いたテンションで、クラブでチルアウトに使えそう。

R – 俺そういうの好きやねん。地域性というか、クセの残っている感じが。沖縄音楽も好きだし。

K – アジアだと、インドのポップスも面白いですよ。何をやってもインド風になるんですよね。あれは聴いていて本当に不思議(笑)

R – きっと、どこの国もそれはあるんだろうなあ。日本のポップスが海外の人にどう聞こえるのかとか、気になるね。あと、他の日本の人たちが普段何を聴いているのかも知りたい。

木村彩人(以下A) – 音楽の趣味って本当に人それぞれですよね。街中で知らない誰かに声をかけてみて、それでいきなり自分と趣味が合っていたりしたら、びっくりしますよ(笑)

R – そしたら固い握手をして帰るわ(笑)自分が良いなって思ったものが、一般で認められないっていうのは悲しいことだよね。前に「クリエイターは自分が良いと思って作ろうとするけど、それは決して他の人が良いと思うものとは限らない」って先輩に言われたなあ。仕事でも、これかっこいいやんと思って作ってみせたら「なにこれ、ワケわからんわ」って言われたりね。

A – よくありますね。

K – 以前、美大生向けのある講義を見に行ったときに「君たちは自分が社会の端っこにいるということを、もっと自覚した方がいいよ」って壇上から言われちゃったんですよ(笑)今でも良く覚えています。

R – わかってはいるんだけど、その辺の価値観も認めて欲しいんだよなあ。ジレンマだらけですよ。

音楽が売れない?

R – そういえば話変わるけどさ、今ってそんなにCD売れてないの?

K – 売れてないですね。

R – それが不思議やねんな。映像もそうだけど、音楽の需要がなくなることなんてないはずやん?

K – お金のかけどころが変化している、っていうのはよく言われますよね。例えば今はほとんどの人々が払っているケータイ代で、月3枚くらいCDを買えるじゃないですか。
インターネットを通じて、無料で聴ける音楽が増えたのも理由の一つでしょうね。パッケージに価値を感じられて、さらに良い音で音楽を聴きたい、なんていう層は少数派なのかもしれません。

A – 最高の質のものが本気で欲しいっていう人は、実はあまり多くないんじゃないかと思うんです。ブルーレイほどの画質なんて無くても、Youtubeで十分という人、多くないですか? 僕もそうなんですよね。ちょっとした画質の差よりも、コンピュータとネットさえあれば膨大なライブラリにアクセスできる利便性の方が、やはりインパクトがあります。
ちなみに岸本さんは月に何枚くらいCDを買いますか?

R – 3、4枚かなあ。

A – 今だと多い方ですよね。もし日本人全員がそれだけ買っているとしたら、国内で月に3億枚以上は売れることになりますから。

K – 月に3億枚も売れたら素晴らしいよ(笑)本やCDはちょっとした金銭的な余裕がある時でないとなかなか買う気にならないんだよね。昔に比べて確実に上がっている利便性と生活コストが、そういうモノの購買力を削いでいるような。

R – うん、最近はそういうことが身に染みててさ。でも逆にそういう時代だからこそ、俺はパッケージで持っておきたいって思うんだけどね。

2010.3.20 update

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