No.006 : 日本語で表現する(後編)/後藤知佳
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知っているつもりで実は知らない世界というものがたくさんあるんだな、と気付かされたインタビューでした。”詩・短歌”と聞けば、それがどういうものであるかを知らない人はいないはず。けれども彼女がお気に入りの世界を覗いてみると、そこには私達が知っていたはずのものは大きくかけ離れた、とても自由な表現があったのです。前後編に分けてそれをご紹介したいと思います。
一倉宏 / 人生を3つの単語で表すとしたら
ワタベカズキ(以下K) – じゃあ次いってみようか。紹介お願いします。
後藤知佳(以下G) – コピーライターの一倉宏さんの「人生を3つの単語で表すとしたら」です。この本は私が一番好きなアートディレクターの葛西薫さんが装丁をやっているのね。サントリーのウーロン茶のCMを作ったりしている人なんだけど。
木村彩人(以下A) – タイポグラフィから入ったデザインっていう感じがするね。レイアウトの整合性がちゃんと取れている一方で、ものすごく自由な印象を受けるところとか。縦書きの中にいきなり横書きが入ったり、本文の書体も途中で変わっているし。あ、文字の色まで変わってる(笑)
G – 自由に組んでるよね。私も自分がデザインをやる立場としては、文字とか最低限の要素だけでその文の情緒を最大限引き出していくっていう姿勢には憧れるな。
K – グラフィックデザインを突き詰めていったら文字に行き着くって言うもんね。(読みながら)この本、簡潔にまとめて説明するのが難しいなあ。
G – そうそう!詩集とも言いがたいし。本人が詩っていうスタンスで書いてないから、言葉の言い回しもわかりやすいし。強いて言うなら散文かな。2ページくらいでみんな完結してる。この本は一倉さんのコピーライターだからできるキャッチーさと、綺麗さっていうのが同居していて。それで、葛西さんの装丁がその世界観と合っていて、良く調和している。

K – 物書きの人の文章の書き方とは少し違うよね。コピーライティングって最後は一言で完結する短い文章になるけど、それに敢えて肉付けをしたらこういう形になるってことなのかな。そういえばコピーライターの人って、本出してる人多いよね。
A – 糸井重里の「ほぼ日」とかは長文多いよね。途中で読み飽きるくらい(笑)そのくらい書こうと思ったら書ける人たちなんだろうね。コピーライターって。
G – 私は古い雑誌を集めるのも好きで、それにたまたま入っていた昔の広告のコピーを読んで「あ、これ誰だろう」って思ったときに調べたら、一倉さんに辿り着いたのね。ユナイテッドアローズのコピーだったかな。そういう短い言葉が出し抜けに目に入って、それがずっと頭の中に残るっていうことが多くて。だから、どちらかと言うと断片的な言葉が好きで、こういう本をよく読んだりする。
K – そういう嗜好で選ぶと、例えば小説よりもこういう本を選ぶようになるっていう…。
G – そうだね。私は文字が少ない方が好きかも。ストーリーというよりも、その世界観が。今日は、そういう本として大事にしたいと思えるものを持ってきました。モノとしてしっかりした本って、このあとも残していかなくちゃいけないと思うから。
先入観なしに読める
K – 今日持ってきてもらった本って、例えば雑誌や漫画とか、小説あたりとは全然楽しみ方が違うよね。これをどうやって説明しよう?
G – 私は最近twitterを始めたんだけど、あの短い文章たちがタイムラインに吐き出される感じに近いなって思ってて。twitterって完全に文脈がばらばらで、関係ない文章が羅列してるでしょ。だから何の先入観もなしに読めるんだけど、その感覚に近いかな。そうやって読んだ方が、逆にすんなりと入れると思う。
A – なるほど、その感覚と結び付けて説明してくれるとは思わなかった。さすが基礎デザイン学科は言うことが違う!
K – 基礎デザイン学科を押しすぎじゃない?(笑)しかし今日のインタビューで、もっといろんな本を読んでみないといけないって思いました。また面白い本持ってきてください!
2009.10.14 update
