No.008 : 初心と現在を結んでくれる/Sugar
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“占い師”という世間では珍しい肩書きを持つSugarさん。正直な話、一体どういうことを考え、暮らしているのかさえ私たちには想像がつかなかったこの業種。なぜそういう道を歩んだのか、それはどういった考えに裏付けされているのか、都内で若手として活躍する彼に伺ってみました。

Sugar
1983年生まれ。占い師として活動する傍ら、男性占い師ユニット「NOT FOR SALE」の企画とパフォーマンスを担当。2009年7月、FUJI ROCK FESTIVALにてエコプロジェクト「one 占 one Tree」と連動した占い館をプロデュース。
NOT FOR SALE
木村彩人(以下A) – 今日は占い師のSugarさんに来ていただきました!早速自己紹介をお願いします。
Sugar(以下S) – Sugarです。肩書きは占い師…正しく言うと占星術研究家かな。やっていることは大きく分けて3つあって、まず普通に対面鑑定。 それからPCやモバイル向けの占いコンテンツの企画制作。あともう一つが「NOT FOR SALE」っていう男性占い師ユニットがあって、その企画とパフォーマー。この3つがメインでやってること。
ワタベカズキ(以下K) – 僕は占い師っていう職業の方には初めてお会いしたんですけど、それになろうと思った最初のきっかけって何だったんですか?
S – きっかけはいろいろあるんだけど、最初は心理学が好きで本を読み漁ってて、そこから神秘思想とかに興味を持つようになったのね。ちょうどその頃に「ユリイカ」っていう詩の批評雑誌で、高橋巌さんっていう学者さんと、心理占星術家という肩書きの人が対談してたの。で、この怪しい肩書きの人は何者なんだって思って調べたら、占星術と心理学を融合させた仕事をしてますって書いてあって。その後に、たまたまその心理占星術家の人の本が売っているのを見つけて買ったの。だから最初は心理学との絡みで興味を持った感じだね。
K – そうなんですか。ちなみに、Sugarさんが考えるに心理学と占星術は近い存在なんですか?
S – そうだね。「人の心をあるフレームを使って読み解いて行く術の体系」って考えると、占星術にも心理学的な要素があるよね。その後は占星術と心理学の本を読んで勉強して、大学生の頃から占いを始めたのね。そのときは就活支援をしていたんだけど、相談に乗るだけじゃ面白くないから占いとミックスしてやってたら、これがよく当たるって評判が良くて。それから、ちゃんとやり始めようって。
リズ・グリーン / 占星学
A – 今日は何を持ってきていただいたのでしょうか?
S – リズ・グリーンの「占星学」って本を持ってきました。これを今日持ってきたのは、高校2年生の頃に出会ってから僕に大きく影響した本だし、今まで常に傍らにあったから。著者のリズ・グリーンは女性なんだけど、最近の占星学会でかなり影響力がある人で。あと訳者は鏡リュウジって言って、日本の男性占い師では一番有名な人なのかもしれない。さっき話した心理占星術家っていうのはこの人なんだけどね。
A – 参考書みたいなものなんですか?
S – いわゆる教科書みたいなマニュアル本ではなくて、哲学書みたいな感じかな。心理学の研究書と言うか。ただ、占星学ではホロスコープっていう図があって、それが個人の心を象徴してますっていう…言ってみたら迷信を前提に置いた本だから、心理学の科学的手法に基づいた本とも言えない。心理学と占星術の狭間にある存在…そういう意味で象徴的な本。
初心と現在を結んでくれる

S – この本は僕にとって、3つのものを結ぶ本なんだよね。まずは占星術と心理学っていう、2つの分野を結んでくれるもの。次に、仕事としてやっていく中で占いがただの仕事の道具になってしまいそうなときに、最初のわくわくしていた頃の初心と現在を結んでくれるもの。あと、これを初めて読んだときに翻訳している鏡リュウジっていう人に会ってみたいと思ったんだけど、実は今は仲の良い飲み友達なんだよね。そういう意味で人と人というか、僕と鏡リュウジっていう人を結びつけてくれたものって言える。この3つが僕にとってのこの本の説明かな。
A – 日々の仕事として使う専門の知識や経験って、意識していないとどんどん擦り切れてしまいますよね。
S – 商業ベースでやってると、どうしても自分の中で型を作って、大して考えずに毎回それを反復しまうからね。パッパッとやって「はい、企画書ね!」って(笑)
K – それ、音楽もそうです。音楽だけで食べてくってなると、断りたい仕事も断れないので。作曲で仕事をしている人も、クライアントの要望を優先しないといけないから、100%自分から出てきたものではないんですよね。それも自分の中でテンプレートが出来上がってきて、「こういう要望にはこう返せばいいや」ってなるんです。引き出しは増えるけど、本当に「仕事のため」って感じですね。
S – 引き出しは増えるけどね。僕は専門は占星術なんだけど、仕事ではルーンとかカバラもやる機会が出てきて、その度に勉強したりとか。そうすると仕事としては一定のクオリティで返せるようにはなるけど、深いかって言ったら専門家ほどではないし。
A – そいういえば音楽をやっている人に、「好きな音楽は?」って聞いたら本人が書いている曲よりマニアックだったりするよね。
K – 自然と聴く人のことは考えるよなあ。音楽をやる人は。それを迎合ってとらえるミュージシャンもいるけど、僕は創作者と受け取る側のポジティブな関係だと思う。
2009.10.22 update
