No.011 : モノとの付き合い方を学ぶ(後編)/大井悠

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ひとつの器に数万円なんて、なかなか出せるものではありません。しかし消費ではないモノとの関わり方をそこから教わったという大井さんにとって、その数万円は”気づき”に対して支払った授業料の様なものなのでしょう。前後編に分けて、彼のお気に入りを伺ってみました。

(前編はこちら)

三谷龍二

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大井悠(以下O) – 次は、木工デザイナーの三谷龍二さんの木のスプーンを。これは自由が丘のWASALABYっていうところで買ったんだけど。

ワタベカズキ(以下K) – 木工デザイナーっていうのは、自分でデザインをして、制作をするってことだよね。

O – そうそう。自分で木材を買ってきて、そこから形を取って作るみたい。木製のスプーンって、使った感覚が他とは全然違うんだよね。金属のスプーンだとその金属の味が混ざるし、歯に当たる感触が固かったり。

K – 俺も同じ理由で、金属のスプーンはあまり好きじゃないんだよね。口内に当たる感触が嫌で。

O – このスプーンはオイル仕上げで、使っているうちに徐々に乾燥してくるんだけど、自分で例えば菜種油みたいな植物性の油を塗り込むと艶が戻るんだよ。あと、このスプーンを使っていると、これを使って何を食べたいかなってイメージしたりするんだよね。粗末なものは食べたくなくなる。

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木村彩人(以下A) – 何かひとつきっかけがあるだけで、食ってすごく意識するようになるんだろうね。サイズが大小2つあるけど、小さい方は調味料とかに使うのかな?

O – お店の人によると、離乳食を食べる赤ちゃんや小さな子どものために買ってゆく人が多いそうです。金属アレルギーの心配がないから。あと、このスプーンは桜の木を使ってて、食器棚に入れておくと棚を開けた瞬間にその香りがする。

K – それはすごい!スプーンで嗅覚が刺激されることってなかなか無い経験だよね。赤ちゃんの頃からそれに触れると、すごく感性に影響しそう。

安藤雅信

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O – 最後は岐阜の多治見の陶芸家、安藤雅信さんのコップ。これも桃居っていうギャラリーで見つけて。僕はこれでお茶をよく飲むけど、コーヒーも合うと思うよ。

K – もう少し大きければビールも良いかもね。最近は陶器のグラスでビールを出すお店、けっこうあるみたいだよ。表面の凸凹で泡立ちが良いみたい。

O – そうなんだ。これを買った桃居っていうお店は基本的に個人作家の作品を取り扱っていて、個展の時は作家さん本人が来てたりするんだよね。運が良ければ、作り手の人と会って話ができるんだよ。残念ながら、安藤さんは会えなかったんだけど。

K – 作り手の顔が見えるものを使うって良いよね。最近はスーパーの野菜も生産者の人のプロフィールが表示してあったりするし。

O – 顔が見える買い物ってやっぱり安心できるよね。柔らかい色合いをしながらも、真ん中にすっと線が入って引き締まってて。その線が気になって買っちゃったんだけど。このコップは柔らかいラインが良いんだよね。包容力があると言うか(笑)

A – そういえば今日持ってきてくれたものって、どれも少し柔らかさが感じられるところがあるね。

O – もっとシャープなのもあったんだけど、個人的に、毎日使うものには柔らかさを求めるところがあるかな。器って一個一個が微妙に違ってて、最後にどれを選ぶかは自分の感性なんだよね。だから選ぶときは、あまり肩肘を張らない方が良い。自分の生活の風景を思い浮かべて、「そこにあったら良いな」と思える器を選ぶことが大事だって思っている。

K – そういう選び方をしてるから、一貫性が感じられたんだろうね。今日はどれも個人作家の人の逸品揃いで良かったです。ありがとうございました!

2009.11.23 update

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